津波や地震災害時に太陽光発電システムで助かった場合と、事故へ発展する場合とは?

非常時に備える自家発電設備の警告パネル

太陽光発電システムは災害時に被害の度合いで明暗が分かれる

震災などで大規模な停電を経験したことにより節電意識や非常電源・自家発電による備えに目がいきますが、普段はあまり意識していなかった設備なだけに情報不足になりがちです。

太陽光発電を導入して助かったというケースでは、家屋へのダメージは少なくて太陽光発電システムが安全な稼働でき、「自立運転機能」によって発電した電力を非常用電源として扱えるようになることで、停電時でも電力が得られるため被災時の生活、住環境の品質維持がしやすくなります。

しかし、自宅の設備への被害が大きかった場合はどうでしょうか?

自宅が住めないほどの被害がでなかったものの、津波・浸水被害や太陽光発電システムのパネルや付帯設備、配線などにダメージを被ってしまった場合は、稼働させると感電や火災の原因になる場合があります。

これは太陽光発電に光が当たると私達の意志とは無関係に発電をし続けてしまうためで、設備や配線に異常があったとしても自動的に停止させることができません。また、パネルが破損した場合でもパネル内部で部分的に発電が継続されます(消防庁消防研究センターの破壊実験でも1枚のパネルに万能斧で5回、貫通させるように打ち込んでも配線からの発電が確認された)。

このため太陽光発電システムを導入されている方は、災害時に他所へ避難する必要がないと判断できても、ライフラインの安全確認の一つとして設備点検箇所を覚えておく必要があります。

震災時に実際に火災へ発展した事例や、応急措置について

総務省 東海総合通信局の移動電源車に接続された単相三線出力パネル。震災などでは救助や災害支援が先行するため被災直後の調査資料は少ないですが、消防庁 消防研究センターの下記資料では太陽電池パネルに万能斧を突き刺した実験結果や震災で付帯設備が浸水したために火災へ発展した事例が公開されています。

消防庁 消防研究技術資料 第83号
太陽光発電システム火災と消防活動における安全対策(PDFファイル)

特に東日本大震災では津波によって低階層に設置されたパワーコンディショナー(太陽電池で発電された直流電力を一般家庭電力として使える交流電力に変換する設備)が浸水被害が相次ぎ、日中に発電された電力により出火が複数件報告されています。また、特定非営利活動法人・太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)の東日本大震災後で実施した調査が日経xTECH(クロステック)の記事で掲載されており、

日経xTECH(クロステック)
「津波を被った接続箱内が黒焦げに」、東日本大震災後の住宅用太陽光(2ページ目)

調査の際、接続箱の筐体の外部には大きな異常は見られなかったものの、筐体を開けてみると、接続箱内は黒焦げて炭化していた。太陽光パネルは健在で発電状態のまま浸水したために、ショートしたと推測している。一歩間違えば、住宅全体の火災につながる危険な状況だった。接続箱のスイッチを切ってさえいれば、こうした事態を防げたとみている。このように、回路の切断方法として、接続箱を適切に活用していない例が多かった。

こちらの調査でも太陽電池パネルの発電により付帯設備が出火元になりかけていたことを伝えていました。これらをふまえた応急措置として、一般社団法人太陽光発電協会では次のように太陽光発電システムのユーザーに注意を呼びかけています

・分電盤の遮断器を切りパワーコンディショナの運転ボタンを停止させる
・設備に触れる際は素手で触らず、電気用ゴム手袋などの絶縁性のある手袋を使用
・作業前にブルーシートや段ボールで太陽電池パネルを覆って発電を強制的に止める

一般社団法人太陽光発電協会
太陽光発電設備が水害によって被害を受けた場合の対処について(PDFファイル)
震災によって被害を受けた場合の太陽光発電システム取り扱い上の留意点(PDFファイル)

ブルーシートも使い捨てレベルのような薄いものでなく厚手のほうが、また、1枚だけよりも2枚重ねにすることで遮光性が高まり意図せぬ発電を抑えられます。消防庁消防研究センターの遮光実験では、ブルーシートは3000番(厚み0.26mm)を2枚重ねで遮光したところ発電出力を94%もの低減効果が得られています。

ただし、パネルを何かで覆ったりする対応方法はあくまで発電による火災・感電のリスクを抑える応急措置(※完全な遮光は難しいので)としてですので、設置業者やメーカーなどへ相談が可能となり次第、点検や修繕が必要です。

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