第17回千里メディカルラリー(2018年度)、テロ対応力確保のためのフィードバックや振り返りミーティング

1記事目は今回のレポートしたシナリオの全体像を
第17回千里メディカルラリー(2018年度)、テロ対応シナリオで各チーム大苦戦!

2記事目では参加チームのハイライトとテロ対応への行動指針を紹介
第17回千里メディカルラリー(2018年度)、テロリスト役へ2人掛かりで応戦して制圧寸前までいったチームも!

3記事目のこの記事では、シナリオ終了後の振り返りミーティングの様子をお伝えします。下記の内容はフィードバックミーティングで交わされた内容を抜粋、まとめたもの。

周囲の安全確保のための具体的な行動・分析ポイント

最初の襲撃で、銃声や傷病者の手当を急ごうとするあまり、多くの参加メンバーの目線が下に向いている。このため、ナイフ持ちのテロリスト役に気付いた時には「もう真後ろに立たれていた」となっていた。また、伏せたような状態で固まりすぎたため、ナイフでの襲撃が容易に行われてしまった。

メンバーがそれぞれ散るように逃げることも重要だが、頭自体は下げていても周囲をうかがうように目線はもっとあげておかねばならない。

テロ現場では敵が1名だけとは限らない。第一波の小銃乱射のテロリト役が走り去った後も周囲の状況を確認を怠らない事。危険を感じたらやはり逃げる。戦わざる得ない場合はチームで束になって攻撃する。

また、10チーム分ほどシナリオを終えたが、ほとんどのチームが全滅(死亡判定)となっていた。人質がとられた場合では、こっちこいと言われたら来てしまい、伏せろと言われたら伏せ、そして最終的にはどちらもやられてしまう。どうにもならない状況下に陥らないためにも逃げる事を優先して体制を整え、傷病者や仲間の救助にあたるしかない。

【元 警察官、急襲部隊に所属。田村装備開発株式会社 田村様含む2名ご協力】

テロ現場での手当は高速道路の真ん中で心肺蘇生してるようなもの

自分自身が生存しないと肝心の救命活動ができない。救急医療に携わる者が集まる今回のチームでは、「助ける!」ということを刷り込みのように教育されてきたメンバー揃い。このため、周囲の安全確保が不十分な状態でも負傷者が発生した時点で手当をはじめてしまうチームが多かった。

感情コントロールの訓練の考え方として「カラーコード」:
・黒色:何もわからない
・赤色:敵に意識を向けて戦闘中
・橙色:危ないんじゃないかと注意力を働かせている
・黄色:普通に話している平時
・白色:寝ている状態
常に黄~橙の間を感情コントロールできるように訓練を心がける(仮に敵と交戦状態に入ってもこの範囲内で冷静に対応)。緊急対応時、平時からいきなり黒になってしまう状態だけは避けなければならない。

「トンネルビジョン」に陥らないようにする:
襲撃の最中、実は外国人観光客や一部の店員は非常口へ逃げることができていた。ある一点にフォーカスせず、全体で何が起こっているのかを把握することが重要。最初の襲撃で走り去ったテロリスト役だけ・傷病者だけでなく、逃げおおせた人々が居れば、そこへ自身らも行くという選択肢を入れる。

多くの参加チームが全滅していく中、2人掛かりで応戦した勇敢なチームもあったが、チーム全員が一丸となってテーブルをもってテロリスト役に応戦できていたチームもあり、その勇気は凄かった。

総合的には1名が人質になってしまったが、他のメンバーが離脱に成功できたチームの評価が高い(全滅を回避し、被害を-1で食い止められたという意味で)。

テロリスト役が現れた時点で戦いを挑むような勇敢なチームも、やはり逃げの選択肢を確認してから行動へ移して欲しい。「戦うのはオフィシャル(自衛隊)に任せて下さい」とも付け加えてくれました。

【元 陸上自衛隊。セキュリティ関連企業 ハタ様】

基本行動方針として逃げる(RUN)・隠れる(HIDE)・戦う(FIGHT)

海外で起きたテロによる傷病者の事例から学ぶことができる「日本集団災害医学会 MCLS 大量殺傷型テロ対応セミナー」でも、逃げる(RUN)・隠れる(HIDE)・戦う(FIGHT)を強調して伝えている。

日本国内だと「通報しなさい」と教えられることもあるが、どうしようもないケースは発生してしまうものなので、バッグ、机、消火器など身のまわりのものでも手に持ち一斉に攻撃して排除する。

隠れる場合は、机の下という訳ではなくテロリストから全く見つからないような場所へ隠れきること。施錠ができるなら施錠する。

一般社団法人 日本災害医学会

【東京医科歯科大学 救急災害担当者様】

被害者のPTSD(心的外傷後ストレス障害)の予防方法について

テロリストが排除して安全が確保された後の話として、襲撃によって引き起こされるPTSDは事件から1ヶ月程度で、被害者のうち2割程度が顕在化する。

PTSDを予防するためにはチームが被害者に寄り添って安全・安心なチームとして「もう大丈夫だ」という事が示してあげる初動対応が重要となる。参加チームのような安全・安心を提供できる医療チームが被災者と接することでPTSDの抑制効果があることが医学的にもわかってきた。

チームは被害者の心のケアをしなければならない一方で、自身の身も心も守るためにもテロ・災害時の(RUN)・隠れる(HIDE)・戦う(FIGHT)や、感情コントロールがより重要になる。

また、この日については訓練といえど他のシナリオと内容が違いすぎて、テロ訓練に遭った直後はボーっとした感覚・茫然自失となり、その後、ややテンションがあがってくる。チーム内でお互い話合い振り返りや情報共有を行い気持ちを落ち着かせると良い。

【さわ病院 精神保健指定医 緑川医師】

資料:
シナリオを見てまとめたところ、こんな感じになります。
※印刷用ファイル:
第17回 千里メディカルラリー(2018年度)関係者向けの印刷用ファイルをアップロードしておりますので、もし宜しければ振り返りにご活用ください

1記事目:シナリオの全体像
第17回千里メディカルラリー(2018年度)、テロ対応シナリオで各チーム大苦戦!

2記事目:参加チームのハイライト、テロ対応への行動指針
第17回千里メディカルラリー(2018年度)、テロリスト役へ2人掛かりで応戦して制圧寸前までいったチームも!

3記事目:専門家からのフィードバック・振り返りミーティング
第17回千里メディカルラリー(2018年度)、テロ対応力確保のためのフィードバックや振り返りミーティング

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